ダイヤモンドの選び方(4Cと優先順位)

ダイヤモンドの品質基準について

ダイヤモンドは「4C」(Carat/Cut/Color/Clarity)という4つの基準で評価されます。各項目の意味を知っておくことで、選び方はぐっとシンプルになります。まずは仕組みを理解し、ご自身の目で見比べながら、どの要素を大切にしたいかを考えてみてください。最適な一粒は、価値観や使うシーンによって一人ひとり異なります。

目次

  1. Carat/カラット(重量)
  2. Cut/カット(輝き)
  3. Color/カラー(色)
  4. Clarity/クラリティ(透明度)
  5. 【シーン別】最愛のダイヤモンドの選び方
  6. パートナーとなるダイヤモンドに出会うために

1・Carat/カラット(重量)

カラットはダイヤモンドの重さを表す単位です。古くは「カロブ(いなご豆)」一粒の重さを基準とし、現在は1カラット=0.2gと定義されています。見た目の大きさの目安になりますが、同じカラットでも厚み(深さ)やプロポーションによって直径は変わります。

ラウンドブリリアントカットのイメージ:

  • 直径が広く浅い:同じカラットでも大きく見える
  • 直径が狭く深い:同じカラットでも小さく見える

ラウンドの場合、カットグレードが Good 以上であればバランスの取れたプロポーションの範囲に収まりやすく、過度に心配する必要はありません。カラットはデザイン全体の存在感を左右する要素です。まずはここから優先して検討するのがおすすめです。

大きさの目安(ラウンドブリリアント)

カラット(ct) 0.1 0.2 0.33 0.4 0.5 0.75 1.0 1.5 2.0
直径(mm) 約2.9 約3.8 約4.4 約4.8 約5.2 約5.9 約6.5 約7.4 約8.2

ポイント:リフォームでデザインのボリュームは足せますが、石そのものを後から大きくすることはできません。長く使う視点で、少し先の自分にも似合うサイズ感をイメージしながら選びましょう。

2・Cut/カット(輝き)

ダイヤモンドの大きな魅力は、やはり「輝き」です。入った光が内部で屈折・反射し、適切な角度で全反射すると、ダイヤモンド特有の力強く澄んだ輝きが生まれます。これを最も美しく引き出す形がラウンドブリリアントカットです。

カットは、4Cの中で人の技術でコントロールできる唯一の要素です。カラーやクラリティが原石の性質であるのに対し、カットは研磨技術によって美しさを引き出します。グレードを上げても価格上昇が比較的穏やかで、費用対効果の高い項目といえます。

カットグレードについて(ラウンドブリリアント)

カット評価は、光をどれだけ理想的に反射させるかで決まります。

鑑定機関 Ideal Excellent Very Good Good Fair Poor
GIA・CGL - 最上級品質 高級品質 高品質 中品質 低品質
IGI 最高位 最上級品質 高級品質 高品質 中品質 低品質
鑑定機関の略称について
  • GIA:Gemological Institute of America(アメリカ宝石学会) — ダイヤモンドグレーディングの世界基準を築いた最大級機関。
  • CGL:Central Gem Laboratory(中央宝石研究所) — 日本を代表する信頼度の高い鑑定・鑑別機関。
  • IGI:International Gemological Institute(国際宝石学会) — ヨーロッパ発祥、世界各国にラボを持つ国際的機関。

カットの選び方(目安)

  • 日常使い:Good 以上で十分に美しい輝きを楽しめます。
  • 婚約指輪:Very Good 以上がおすすめ。ExcellentIdeal(※IGI) なら申し分のない品質です。

Ideal(アイデアル)は IGI が採用するカット最上位グレード。GIA・CGL は「Ideal」を用いませんが、同等品質はExcellentに含まれます。

ダイヤモンドの4Cのカットグレードの詳細説明をみる

3・Color/カラー(色)

カラーは、規定の光源下でマスターストーン(基準石)と比較しながら評価されます。無色〜淡黄色の範囲では、H 以上であれば日常使用でほぼ無色に見え、バランスが取りやすい選択です。

D E F G H I J K L M N O P Q R S T U W X Y Z
Colorless
無色
Near Colorless
ほぼ無色
Faint
ごくかすかな色味
Very Light
かすかな色味
Light
はっきりとした色味

ダイヤモンドの4Cのカラーグレードの詳細説明をみる

4・Clarity/クラリティ(透明度)

クラリティは、内包物(インクルージョン)や表面特徴(ブレミッシュ)を10倍拡大で確認し、総合的に評価する項目です。日常の見え方という観点では、SI 以上は肉眼で気になりにくいことが多い一方、同じグレードでも個体差があります。

  • SI2:下限寄りの個体は、肉眼で内包物が見える場合があります。
  • SI1:VS 寄りの個体も多く、実用上ほとんど気になりません。

迷われる場合は、安心感と価格のバランスがよいSI1 以上をひとつの目安にすると選びやすくなります。

FL IF VVS1 VVS2 VS1 VS2 SI1 SI2 I1 I2 I3
Flawless
内外部無欠点
Internally Flawless
内部無欠点
Very Very Slightly Included
ごくごくわずかな内包物
Very Slightly Included
ごくわずかな内包物
Slightly Included
わずかな内包物
Included
肉眼で確認できる内包物

ダイヤモンドの4Cのクラリティグレードの詳細説明をみる

【シーン別】最愛のダイヤモンドの選び方

大きさ(カラット)は、誰から見ても一目で伝わる要素であり、デザインにも直結する重要なポイントです。将来のリフォームや次の世代への継承まで見据えながら、シーンに応じて4Cの優先順位を整理しておくと選びやすくなります。

シーン別おすすめ品質 婚約指輪 贈り物(ギフト) 自分用
0.2〜0.5ct 0.7〜1.0ct 0.2〜1.0ct 0.2〜1.0ct
Excellent・D・VVS1 特品 特品 特品 特品
Excellent・F・VS2 品質重視(強) 品質重視(強) 品質重視(強) 品質重視(強)
Very Good・F・VS2 品質重視 品質重視 品質重視 品質重視
Excellent・H・SI2 大きさ重視(強) 大きさ重視 大きさ重視 大きさ重視
Very Good・H・SI2 大きさ重視 大きさ重視 大きさ重視
Good・H・SI2 大きさ重視(強) 大きさ重視(強) 大きさ重視(強)

婚約指輪(プロポーズ)の選び方

  • 大きさを優先して存在感を確保し、カラーやクラリティで予算を調整する。
  • 0.7〜1.0ct を狙う場合、カットは Good でも十分。余裕があればカラー・クラリティを一段上げる。
  • シンプルなデザインは石を引き立て、将来のリフォームでもアレンジがしやすい。
  • 品質重視の目安:0.2〜1.0ct/Excellent/F/VS2
  • 大きさ重視の目安:0.2〜1.0ct/Excellent/H/SI2
  • より大きさ重視:0.7〜1.0ct/Good/H/SI2

結婚○○周年・還暦・ご退職などの贈り物

  • 普段使いには、大きさ控えめ+カットやカラーを少し上げて上質感を意識。
  • インパクトを重視する場合は、まずサイズを決め、そのうえで品質で予算をコントロール。
  • 推奨目安:サイズ優先/Good/H/SI2

自分へのご褒美として

  • まずは欲しいアイテム(リング/ネックレスなど)に合うサイズを優先
  • 予算に余裕があれば、カットやカラーを一段上げることで満足度が高まります。
  • 推奨目安:サイズ優先/Good/H/SI2

あなたのパートナーとなるダイヤモンドに出会うために

ダイヤモンド選びの第一歩は、「知ること」、そして「自分が何を大切にして選ぶのかを決めること」です。

4C評価は、“美しく輝くダイヤモンドとは何か” を整理するために作られた世界共通の基準です。
カット・カラー・クラリティ・カラットという4つの指標は、輝きの質を理解するための物差しに過ぎません。

その仕組みを知ると、なぜダイヤモンド(=輝きを重視する宝石)には明確な基準があり、
カラーストーンのように輝きを目的としない宝石には同じ基準が存在しないのか──その違いにも自然と納得がいきます。

けれど、4Cは“正解をひとつに決めるためのもの”ではありません。
自分がどのような一粒を求めているのかを考えるための道しるべのような存在です。

強く輝くダイヤモンドを選ぶのか。
わずかな色味や内包物を、その石だけが持つ個性として愛おしむのか。
それを決めるのは、他の誰でもなくあなた自身です。

4Cを知ることで、数字に振り回されることなく、自分の価値観に合った一粒を、自信を持って選べるようになります。

あなたの人生に寄り添うパートナーとなるダイヤモンドは、
その瞬間、あなたが「これだ」と心で感じた一石です。


参照元:
出典:GIA「ダイヤモンドの品質を決定する要因」より
GIA公式ページ